完全自動化なシステムにしないという設計思想

完全自動化なシステムにしないという設計思想

こんにちは。のむらです。
日々、色々なビジネスモデルを研究しているという性質上、
だいたい、一日に一個以上は、ビジネスモデルに関する話をしているような
気がします。
さて、巷では、
マイクロソフトがセールスフォース・ドットコムを買うかも!?という話
が出ていますね。
クラウド型のCRMシステムを大掛かりに展開しているセールスフォースですが、
時価総額は日本円で6兆円くらいの規模になっているそうです。
法人向けのサービスを考える時に、
既存の業務をフローチャートに落とし込んでみると、
実は、「これってそもそも人間いらなくね?」的なアイディアが浮かんでしまうのも、
IT屋さんであれば、ちょくちょくあることではないでしょうか?
CRMということについても、
そもそも取引の場全体をシステム化してしまうと、
人がセールスをするためにつかうシステムではなくて、
製造した製品を直接顧客に届けるシステムに変わったりするようにも思います。
ひとつの参考例はAmazonだと思います。
ただ、取引を処理フローに落とし込んだ時に、
システム化できないこともあるものです。
例えば、
やたらとオシャレで美男美女をたくさん採用しているような企業もあります。
こういう会社と取引をすれば、定期的に美男美女が職場に訪問してきたり、
打合せに出てきたりするものです。
ここにある取引先の(あまり大声では言えないような)メリットというのは、
営業を全自動化したとしたら、消えてしまうところです。
全ての社員が費用対効果を極限まで追求するというメンタリティの会社ばかりの
世の中になったとしたら、
見た目の良い社員を採用して営業させるということにはメリットがありませんが、
そういう世の中が来た日には、経営者とフリーランスばかりの
世の中になるようにも思います。
※ので、そもそも法人営業のための社員を大量に抱えるということが無くなるかな、と。
これは一例ですが、
業務フローを描いた時点で、既に、削ぎ落とされている価値というのがあるので、
完全自動化は必ずしも価値を最大化していないことが多いです。
現在、ビジネスクリエーターズでも、法人向けソリューションの
設計をしておりますが、
ここでのポイントは、完全自動化するわけではない、
ということです。
いや、一応、完全自動化のフローも描けなくは無いのですが、
そんなことをしたら、提案先の担当部署そのものが無くなってしまいます。
そういう提案を良しとする人が
一定以上の規模の会社で管理職になっているというのは、
あまり現実的なストーリーでは無いですね。
会社全体は効率化されたけど、自分の仕事がなくなって、
これまでのキャリアが活かされる場所がなくなりました、
となるわけです。
これにはムリがあるでしょう。
かといって、人がやる作業にいちいち並走するようなシステムであれば、
面倒なだけ、管理されているだけ、というものになってしまいます。
では、どういう思想で設計すれば良いでしょうか?
今、考えていることは、
システムが得意なことをシステムに任せて、
人が持っている暗黙知なり経験則というのは、
そのシステムの上で発揮できるようにする、
というものです。
一方で、会社全体で考えた場合に、
人が入れ替わっても業務が継続できるように、
データの蓄積もまた、システムに任せるわけです。
企業向けシステムの特徴で、
データ蓄積の話をすると、
やれすぐにビッグデータだなんだと言われそうですが、
ビジネスとして考えると、
ビッグデータかどうかよりも、
単純に、「お客様の手元でお客様のデータが蓄積される」
という仕組みのほうに価値があると思います。
それをサービス提供側がつかうといっても、
正直、たいした使い方ができないことのほうが多く、
実際には、データを蓄積した本人が一番データの価値や意味を
理解しているものだったりします。
(というのも、蓄積されるデータの背景にあるコンテクストまでは、
なかなか蓄積が難しいので)
というわけで、
単純な演算処理や検索処理、
データの蓄積というのは、
システムに任せて、
より大事なことを考えられるような
そんなシステムを設計中です。
また、タイミングが来たら皆様にもご案内します。
この、完全自動化なシステムにしないという考え方は、
それが商売であるならば、
大事なことではないでしょうか?
もし、
法人向けのシステム等のプロジェクトに関わることがありましたら、
一度、考えてみてはいかがでしょう。
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Nomura

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スイッチングコストの高いビジネス | ビジネスクリエーターズPosted on1:48 am - 5月 17, 2015

[…] 今日は前回の話に関連したことを考えてみます。 […]