こんにちは。八須です。
半藤一利『昭和史 上・下』を読みました。
上巻が大正の終わりから終戦まで、下巻が終戦から沖縄返還あたりまでを描いています。
上巻では特に、日中戦争から太平洋戦争についてを、軍・政府上層部の細かい動きを
中心に書いてあるのですが、もうこれを読むといかに負けるべくして負けたか、ということが
よくわかります。それこそ読みながら「なんでそれをやる!?」とツッコミたくなるほどです。
大きくまとめれば、まず世界情勢というか、各国が何を考えているのかということを
よく見ずに、自分たちに都合のいい方向にだけ考えていたんですね。たとえば
日ソ不可侵条約を結んだ時には、これでもうソ連と戦うことは絶対にないだろうとか
強硬策に出れば本気でアメリカが攻めてくることはないだろうとか、いわゆる
「希望的観測」だけで動いていたようなのです。
それから、強い信念を持った人がいなかった。なんとなく「みんなこういう雰囲気だから」
というので流されていってしまった。例えば海軍ははじめ、米英と戦うのには
反対だったのですが(絶対勝てませんと言っていた)、陸軍がどんどん動いて
戦うのが既定路線みたいになったら、意外なほどあっさりと容認してしまうんですね。
あとは「気合でなんとかする」という考え方。ものすごい戦死者を出したことで有名な
ノモンハン事件ですが、その総括である報告書を読むと、装備で負けていたということは
当然書いてあるのですが、その解決策として「もっと気合入れろ」というようなことが
書いてあるという。今で言えばまさにブラックというやつですよね。
という感じで、上巻は「どうやって負けたのか」ということがひたすら書いてあるのですが
下巻についてはまた今度。
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明日は堀川さんです。