『深夜快速の旅?マレーシア篇』 Chapter6
階段を降りると、辺りは夜になっていた。
路面店が放つ白光と、屋台にともる灯りが、道の袖を明らめていた。
チャイナタウンはにぎやかだった。どの店もテーブルをせり出して、
炒めた野菜、鶏肉や豚肉を焼いたもの、堅焼きのベーコン等を並べていた。
10分もあれば一周できるほどの外周で、縦横に中央を貫通する通りは、
新宿駅のJR?京王線の連絡通路ぐらい込み合っていた。
物販のラインナップは、明らかな偽ブランドが主流で、
ロレックスのTシャツや、ダンヒルの靴など、めちゃくちゃだった。
目が会うとにこやかに肩を撫でてくる若者に、若干の猜疑心を感じながら、
あたり徘徊してみた。マレーシアに来て初めて、写真を撮ってみた。
一通り冷やかすと、食事を探した。
どれも美味しそうで、値段も安いようだ。
タピオカ入りのアイスミルクを5RMで買い、ストローを吸いながら歩いてると、
薄く湯気が立ち上がっている蒸し器を見つけた。
それは、ちまきらしきもので、大きくごろごろとしていた。
米を食べたい衝動に駆られた私は、それを買うことにした。
1個3RMのちまきを2個買うから5rmに負けて、と売り婆に言うと、
すんなり「OK」という返事が返ってきた。オーケーと発音したわけではないが、
顔を縦に振っていたので、そういうサインだと受取った。
10RM紙幣を取り出してにこやかに支払うと、にこやかに4RMが返ってきた。
ごくごくささやかな、洗礼だった。
宿に帰ってこいつを頬張る事に決めた。
何か飲み物を買っておきたいと思い、コンビに行ってみることにした。
チャイナタウンの界隈には4件ほどのコンビ二があり、その全てがセブンイレブンだった。
だからといって、当たり前だが念のため、新生銀行の引き出し等できるはずもなく、
真っ先に冷ケースの前に向かった。
ハチミツ入りの緑茶が人気のようで、どの飲料メーカーもその味を置いている。
どうやら、マレーシアの人々は甘党のようだ。
その甘茶を買って宿に戻り、飯をくるんだ葉を広げてちまきにかぶりついた。
一口たべてみると、意外にに旨くない。
米には味があまりついておらず、米の間に挟まる具も、
案の上ハーモニーなど奏でなかった。
おかげさまで、マレーシアの食の第一印象は悪かった。
何とか二つのチマキを平らげて、横になり、
地球の歩き方を広げながら、明日の旅程などを考えてみた。
腹を満たすと眠くなってきて、
いつの間にか、静かに寝入った。
そんなマレーの初夜だった。
2 comments so far
大久保修Posted on1:52 am - 2月 7, 2007
いい具合に入り込んでますね:mrgreen:
友部武志Posted on5:19 am - 2月 8, 2007
どのくらい書けるか分かりませんが、
おつきあいくださいませ。