『深夜快速の旅?マレーシア篇?』 Chapter4
予定通り飛行機が着陸した。思っていたほど暑くは無い。
観光シーズンの昼間の混雑具合は分からないが、
この日の夕方の到着ロビーは閑散としていた。
イミグレーションを抜けてトイレを済ませると、
途中の白タクには目もくれず、電車文明に慣れきっている私は、
先ず特急電車の発着ホームを探した。
クアラルンプール国際空港とクアラルンプール市内を30分程で結ぶ
KLIAエクスプレスという特急列車があり、
料金は34RM(リンギット)日本円で1000円強であった。
バスを利用すれば1/3の料金で済むのだが、
早くKLに着きたい気持ちもありこれに乗り込んだ。
「夕方の上り」のせいか席はだいぶ空いていた。
乗車しているのは、高そうなスーツに身を包んだ中国人の顔立ちをしたビジネスマンと
各国からの観光客で、マレーシアスタンダードの人々は見かけられなかった。
驚いたのは、車内に映像モニターが壁付けで設置されていることだった。
音声も聞こえてくる。幾つかの企業の広告がローテーションされていて、
番組らしきものも放送されていた。
国際空港からの交通手段は、外国人が最初に体験する当地の文化だが、
東京の電車でも導入が限定的な車内映像モニターが、
貧乏旅行先のマレーシアの車内で見られるとは思ってもいなかった。
玄関先にセコムシールを掲げて異邦人を迎え撃つ世田谷邸宅同様の気概を、
マレーシア政府にも感じる事となった。
KL市内のターミナル駅であるKLセントラル駅に到着した。
駅には、市内及び近郊を結ぶ複数の路線が乗り入れており、
人も多くて、飲食と物販の店舗が多数並んでいた。
スターバックスも見る事ができた。
時計を見ると18時だった。まずは宿を見つけて荷物を降ろしたかった。
今回の旅では、安宿のみに宿泊をするつもりで、
ガイドブックで探すとクアラルンプールにはたくさんあった。
セントラル駅から近い事と、名前の親近感につられ、
チャイナタウンにあるバックパッカーズトラベラーズインという安宿を目指すことにした。
パサール・スニ駅を降りてホームを下り改札を出て、コンクリートの地面を踏んだ。
暖かい。ちょうど良く暖かい。明るめの曇り空を仰ぎ、一呼吸をしてみる。
鼻腔には、薄めた煙の匂いにがそよぐ。それが、マレーシアの匂いだった。
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加茂くんです。