一九六五年、経済的に繁栄する日本からアフリカ中央の一小国ルワンダの中央銀行総裁として着任した著者を待つものは、財政と国際収支の恒常的赤字であった―。本書は物理的条件の不利に屈せず、様々の驚きや発見の連続のなかで、あくまで民情に即した経済改革を遂行した日本人総裁の記録である。今回、九四年のルワンダ動乱をめぐる一文を増補し、著者の業績をその後のアフリカ経済の推移のなかに位置づける。
為替や国際金融の知識が多少あるといいですが、知らなくてもとても面白い本。
本当に何もない、文明的なもの(車や筆記具、衣類まで)は全部輸入している、独立したばかりの小国の中央銀行総裁として、実質ほぼ一人で国の発展の道筋を作った話です。
完全に中央銀行の役割を逸脱している部分もありますが、マクロ経済政策がここまで人の生活を変えるのか、というところには驚くばかり。普段わたしたちが生活していては気づかないところなので、とても勉強になりました。
「すごい仕事の話」を読んでみたい人には絶対オススメの一冊です。
惜しいのが、ルワンダのその後について、特に94年のルワンダ虐殺についての一文。事件が起こったばかりで全容がわかっていない時期、しかもルワンダの既存政権について悪いことを書けない立場の著者が書いたものなので、はっきり言って誤りです。ルワンダ虐殺については下記の資料がまとまっていて読みやすいので、気になる方は参考にしてください。
ルワンダにおける1994年のジェノサイド -その経緯,構造,国内的・国際的要因-(PDF)