こんにちは。のむらです。
グローバル化や国際競争力ということが言われてからというもの、
いわゆる先進国との教育の違いやスタートアップ環境の違いというのを
けっこう批判的に言われがちなのが日本です。
とはいえ、私は単純に先進諸国の後を追いかけるのもどうかと思っています。
例えば、
アメリカではこうだ、シリコンバレーではこうだ、
と言われたところで、あまりそれを真似ることや、
それらと日本のギャップを批判することは、
思慮不足じゃないかと感じています。
確かに、教育システムの違いはありますし、
金融機関に従事する人々の考え方というか温度差というのも感じます。
ただ、アメリカを引き合いに出すのであれば、
そもそも、国の歴史が違いすぎるので、
時間感覚やメンタリティはずいぶんと違うのも必然だと思います。
アメリカ合衆国であれば、建国から300年ちょっとです。
日本には1000年企業があったりするわけで、
そもそもアメリカ合衆国の歴史を3回くらい繰り返せるような
事業者がいたりします。
昨今の日本の税制を考えると、
事業者として歴史があるからといって、
必ずしも富が蓄え続けられる仕組みでも無いのですが、
家族経営というか、家制度的な考え方も相まって、
株主価値を最大化するような企業経営はあまり馴染みがなかったりもします。
株主側も株主価値ということに比較的鈍感な面もあるでしょう。
そういう意味で、各所に少しずつ特殊性があるわけですから、
現在の環境をよく見て、それに合ったことを考えるのが良いと、
私は思っています。
新しいことにチャレンジする際、
いくつかの資源が必要です。
大きく分けると、
・チャレンジ精神
・お金、モノ、技術、情報、人(経営資源)
になるのですが、
日本の現状を見るに、大企業には経営資源がかなり眠っています。
これとチャレンジ精神を掛け算することで、
新しいチャレンジが生まれるわけですが、
社歴の長い大企業が多く、
人口増と高度経済成長期を経て、
富を蓄えていたりします。
そして、新卒入社という制度と終身雇用という(そのうち崩れる制度ですが)信仰があります。
就活生と毎年お会いしていますが、
大企業、終身雇用、福利厚生の充実。
正直なところ、こういう志向の就活生は多いですし、
年々その信仰は根強いものになっています。
(受験やシューカツというイベントで人生を決めちゃうような価値観の方が多いです。)
このようなメンタリティの若者が大企業に集まります。
大企業には経営資源が今のところ豊富ですが、
それを食うための競争がシューカツであり、
入社後の長い(という前提の)時間です。
ここで、大企業の体質を変えなければ!
という意見の方もけっこういらっしゃいますが、
それは大企業で働いたことがあると、
安易には要求できないように思います。
入社の時点で、
できるだけ波風立てずに、定年まで素晴らしい福利厚生に恵まれて働きたい、
それなりの役職までは出世しておきたい、
仕事と家庭の両立、ワーク・ライフ・バランスというのが大事です
なんてイメージを持っている方に、
「成功事例は?」と聞かれて、「そんなの自分がこれからつくるんです」
というメンタリティを持たせるというのは、
けっこうミスマッチも甚だしいと思います。
だいたい、新しいチャレンジは、「成功事例」と言われるようになる保証はありません。
だから、ある程度は多産多死な状況をつくる必要もあります。
大企業にいる方にガンガンそういうことをさせてしまうと、
エラーが増えるかも知れません。
それは大企業に入る動機とは相反しています。
(私も大企業にいたことがありますから、分からなくはないです)
そういうわけですから、
私たちのように、よく分からない外部の人間、
チャレンジ精神にあふれているというか、
新しいことをどんどんやっていきたいと思っている層の人間が、
大企業の経営資源を活用して新しいことをやる。
うまくいったら、大企業でそのために動いてくれた方々の出世のネタとして
つかってもらえれば良いですし、
ダメだったら、外注先の我々の責任にすれば良い。
そういう仕切りで色んなことをしかけるのが、
メンタリティ等を変えずに実行できる現実的な方法だと思っています。
ひとつ、壁があるとしたら、
会計監査の話です。
これもまぁ、肥大化した監査法人等の飯のタネという事情もあるでしょうから、
制度の矛盾を指摘しても時間の無駄です。
素直に、グループ子会社をトンネル会社にしたりして、
今の飯のタネは守ってあげながらチャレンジするということになるでしょう。
こうすれば、
チャレンジ精神のある人と、豊富な経営資源を掛け算することができます。
もし、日本を豊かにしたいと考える人がいるならば、
悪者探しをして批判するよりも、
こういう現実解を実行していけば、良いと思います。
そういう現実的な人とは、
ぜひ、一緒にお仕事をしたいと思う今日このごろです。
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明日は樋口くんです。