『深夜快速の旅?マレーシア篇』  Chapter8
名前に惹かれて、セントラルマーケットに向かうことにした。
中華街からは目と鼻の先だ。
横断歩道で信号を待っていると、私を旅行者と見てか中年女性が話しかけてきた。
「あなたはこれからどこへ行くの?」
「これから、セントラルマーケットに行くところだけど」
「あなたは韓国人?」
「いや日本人だ。」
「セントラルマーケットへ行った後、私の家に遊びにこない?」
「ノーサンキュー」
立ち去ろうとすると、私の左側に中年男性がじっと立っていた。
ずっと、こちらの様子を伺ってたようだ。
中年女性が話しかけてきた時、彼女がどういう人物かはピンときた。
昨晩泊まったバックパッカーズトラベラーズインの
「詐欺師に注意!」の張り紙に写っていたその人だったからだ。
張り紙には、
「中華街では詐欺師に注意すること。
旅行者に話しかけ、自分の家にこないかと誘い出し、
ついて行くと博打のゲームに参加させられ、
いかさまで金品を巻き上げられる。」と書いてあり、
写真のセンターには、中年女性とその横に座った中年男性の姿が写っていた。
先人の注意に感謝した。
セントラルマーケットは、閑散としていた。
平日の午前中というせいもあるのだろうが、「マーケット」というには物悲しく、
すぐに出てしまった。
初日に通ったKLセントラル駅に行き、モノレールに乗ることにした。
やや狭い車内を見渡すと、マレーシアという国に複数の民族が混在している事に
改めて気づいた。中学生くらいの華人の女の子、インド系のサラリーマン、
マレー系の親子、車内は予想以上に混んでいた。
ペアは多いが、華人は華人とマレー人はマレー人と、規律のあるが如く、
別の民族と会話をしている様子はほとんど見受けられなかった。

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ブキッビンタンという駅でモノレールを降りた。
ここは、マレーシアでの銀座に相当するらしい。
背の高いたてものが幾つか見受けられた。
ロットテンという緑色の大きな建物には伊勢丹が入居している。
中に入ると銀色が目につく。中央の吹き抜けを囲むように円形に店舗が配置されていて
階を結ぶエレベータも含めて、シルバー色の内装で統一されていた。
だが、それだけだった。
小奇麗な買い物客が、新品の靴を足にあてているのを見ても、まったく面白くなかった。
5分程でお暇すると、少し歩いてみることにした。

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通り二本ほど、入っただけでガラッと景色が変わった。
そこはアロー通りといって、中華街で見たような屋台がここにも多数並んでいた。
昼間の屋台は無人で、主人を失っても整然と並んでいる。
写真をとる私の向かいには男の子が立っていて、こちらじっと見つめていた。通り沿いの建物は洗濯物で埋め尽くされ、景色の先には高層マンションが垣間見えた。

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ロットテンの交差点を通るモノレールと、その下のNOKIAの広告。
伊勢丹の中の人工的なシルバーの色と、アロー通りの仄暗さ。
綺麗な靴を買う華人女の子と、色あせたTシャツを着て屋台の側を走り抜ける華人の男の子。
そこは、『攻殻機動隊』の舞台にも見える、近未来的退廃感の交差点だった。

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次は、加茂君です。よろしく!!